日本版デュアルシステムとは

日本版デュアルシステムとは

日本版デュアルシステムとは、企業における実習訓練と専修学校における座学とを組み合わせて実施し、若年者を一人前の職業人に育てる新たな人材育成プログラムであり、ひとことで言うと「働きながら学ぶ、学びながら働く」という制度です。

専修学校の授業時間の最大50%までが企業実習と及びOJT(賃金収入可)による実習訓練です。実践力が身につき、学費の負担の軽減も出来ます。

もともとデュアルシステムは、職業訓練と学校教育を組み合わせたドイツの職業教育システムのことで、インターンシップ(※1)とは異なり、年間に延べ数ヶ月間に及ぶ本格的な職業訓練を行うことや、対価として企業から報酬が支払われることが特徴です。

(※1)学生が在学中に企業で職業体験を行う制度で、職業意識向上等を目的により導入が進められました。1~5日程度の短期間の職業体験が中心で、基本的に無報酬です。

日本版デュアルシステム導入の背景

若者を取り巻く雇用情勢は厳しく、(※2)高い失業率(24歳以下約7.5%)、(※3)無業者・フリーター(フリーター217万人、ニート52万人)の増加、高い離職率など、若年者本人のキャリア形成の支障となるだけではなく、社会の技術・技能の蓄積に支障をきし、経済基盤にも中長期的に重大な影響を及ぼすおそれがあると言われています。

ところが、これらの若年者が安定就労を希望して求職活動を行っても、企業が求める人材が高度化していることや企業余力の低下などで企業内での人材育成システムを取り巻く環境が変化しつつあるため、就職できないことが多いのが実情です。こうした状況を受け、平成15年6月には、厚生労働大臣をはじめ関係4大臣により「若者自立・挑戦プラン」が取りまとめられ、関係省庁が連携して若年者のキャリア形成に係わる具体的な施策を展開していくことになりました。

「日本版デュアルシステム」は、このプラン推進の一環として、平成16年度より、厚生労働省と文部科学省が連携し、全国で導入した若年者のための新しい職業訓練制度です。

日本版デュアルシステム導入のメリット

◆学生にとってのメリット

1.経済的な理由で、進学を諦めていた若い人たちにとって、絶好の勉強の場が増えたことになります。
2.国が新設した制度で、いろんな機関が支援しますので、安心して勉強や企業の訓練に励むことが出来ます。
3.企業での訓練で、自分の仕事に対する適性を見極められ、実践力も高められるため、就職に有利です。
4.修了時の能力評価により、採用の際に企業から適正な評価を得ることができます。
5.直ちに正規雇用に就けなくても有期パート等賃金を得ながら訓練を続けることができます(賃金収入により学費負担を減らせる)。
6.2年以上の専門学校を卒業すると、卒業時に「専門士」が与えられます。

◆企業にとってのメリット

1.就職意欲をもった若い人材を比較的容易に確保し、会社が求める人材を育成することができます。
2.実習あるいは有期パート等で能力と適性を見極めて、正規雇用につなげられます(ミスマッチを減らせる)。
3.企業の繁閑にあわせた要員計画に沿って訓練生を受け入れることにより、訓練を実施しつつ若いフレッシュな人材を貴重な労働力として活用することができます。
4.雇用前の試用期間として、人物判断が出来ます。1年間、あるいは2年間の訓練期間中に、その学生をよく観察出来ます。
5.教育訓練を外部機関で実施することで訓練の負担を軽減しつつ体系的な知識や技能を修得させることができます(訓練コストを減らせる)。
6.訓練生を指導する立場の従業員の育成につながります(業務の棚卸等を通じて)。
7.修了時の能力評価により、能力が保証された人材を採用することができます。

◆専修学校にとってのメリット

1.前向きで意欲ある学生を受け入れ、企業が求める即戦力の人材養成を担うことで、就職実績があがり、結果として学生募集がしやすくなります。
2.受け入れ企業によっては、正規雇用の道も拓けますし、そうした就職面でのメリットは計り知れません。
3.導入した学校は、他の学校と比較して職業教育の質の高さをPRすることも出来ます。

日本版デュアルシステムのしくみ

◆訓練分野

実務経験が重要な分野を中心に実施広く教育訓練の対象となっているもののうち、公的資格など評価制度が確立したものや、座学だけでなく実務訓練が重要な分野等を中心に推進します。

例/観光(ホテルサービス)、IT、経理、医療事務、介護、自動車整備、電気工事 等

◆訓練時間・時間数

実践力を修得するのに十分な期間と時間を設定
・総訓練期間・総訓練時間は、現行の課程で定められた時間数(専修学校の場合、年間800時間以上)を標準とします。
・受入企業における実習訓練(企業実習およびOJT)は、総訓練時間数の20%以上50%未満を目安とし、実践力の獲得に十分な時間数とします。

パターン1 月単位で実習訓練を行うパターン例
  4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月
1年目 学校 企業 学校 企業 学校 企業
2年目 学校 企業 学校 企業 学校 企業
パターン2 毎日、午前・午後の指定した時間で実習訓練を行うパターン例
 
午前 学校
午後 企業
パターン3 週単位で実習訓練を行うパターン例
 
午前 学校 企業
午後

◆職業能力評価

専修学校等と受入企業のW評価で実践力を保証

・Off-JT部分については、専修学校等の教育訓練機関側でそれぞれのコースにおける評価方法に基づいて評価します。
・企業における実習訓練については、企業が訓練計画に沿った訓練の修了を確認するとともに、評価項目に沿って到達度を評価します。
・企業と専修学校等の評価をとりまとめて、最終的に専修学校等が訓練生に修了(卒業)証書を交付します。